2016-06-01から1ヶ月間の記事一覧

香水の寓話

硝子細工の香水壜をなんとなく手に取ってみた。冷たい蓋をそっと外してみると、華奢な少女がわたしの前に現れた。彼女の絹のように滑らかな亜麻色の美しい髪が揺れると、仄かに牡丹の花の香りが立つ。磁器を思わせるような白くなめらかな肌は、わたしが手を…

夢の話

うだるような暑さと倦怠に疲弊しきった体躯遮光幕から射し込むは一筋の月明かり水を張った静けさと規則的な呼吸の音己の頬に触れる優しい手指誰のものでもない過去への意識の介入は可能か鍵盤の旋律に想いを馳せる芳香な紫煙がゆるりと揺れる一角獣の誕生に…